老後金融資産のはなし
Yasuです。
Olaでは健康も資産なので育てることが大事ですよとお伝えしていますが、資産と言えば金融資産。健康と同じく育てることが重要です。
なぜこのような話をするかと言うと、僕の前職は会社員で、金融機関に20年以上勤めていました。ホームページのプロフィールでも書いているお話です。
Olaのホームぺージ「あなたの健康は、あなたの資産」のコピーは、もともと「金融資産は育てるもの」というイメージから来ています。
今回の本題
今回は、老後の金融資産をどう育てるか?というお話ではなく、金融資産を運用する(育てる)前にそもそもどう守るか?という話です。
金融資産を運用した経験が少ないのに、多くの額を1つの商品に投資してしまいそうになった
という例が自分の回りにあって、「危険だなあ」と常日頃思っていたからです。
運動に例えると、時間が出来て身体の調子も良いからと言って、練習せずにフルマラソンに出たり、スノボで上級者コースを降りるようなものです。
Yasuの少し詳しい経歴
20年超の金融機関勤務のほとんどを、資産運用に関係する部門で働きました。日本の会社に入社し、運用に関する事務や会計を学んでから、研究職に配属されました。
研究職だと実践する力がつかないので、30歳を前に米国資本の運用会社に転職します。ホームぺージで「日本では一部の人しか知らなかった会社」と言っていた会社です。
日本株式の運用担当となり、そこからは毎日が実践です。とは言え、チームで運用していたのと、運用資産を見る時間軸は長期運用だったので、株価の値動きに一喜一憂することはなく、今回の話題である「資産を育てる」視点で仕事をしていました。
その後、かなり経ってからスイスの運用会社に移りますが、その頃は、顧客の金融機関が集客した個人顧客の前で、経済や金融市場の説明などを行っていました。
学ぶ機会がなかった「金融」
学校で学ぶ機会がなかったのは、身体のことと同じくらいではないでしょうか?
最近は「学び直し」「リスキリング」などの言葉が良く聞かれます。その中に「社会人にも金融教育を」という話を耳にするようになりました。
しかし、「何からどう学んでいったら良いか」分かりにくいのが金融です。今回1回の記事では限りがありますが、的を絞ってお伝えできればと思います。
今回の話題はあらゆる世代の方に共通しますが、老後の備えという文脈で触れていきます。
退職金に関わる相談
2つほど例を取り上げます。
▶ Nahokoの親戚に退職金の多くを銀行の言うがままに投資した方がいました。販売方法に問題があったのではという疑念から、その銀行を相手に裁判にまで発展しました。投資先は、銀行が販売した(誰でも購入可能な)投資信託です。
裁判の際にお手伝いをして、後から知ったのですが、当時は銀行も不慣れで販売方法に無理があった印象を受けました。ちなみにその銀行は、その地域で最大の地方銀行です。親戚がつい信頼してしまった様子がうかがえます。
▶ サービス業の会社を退職した友人からの相談。「変額年金」と呼ばれる保険商品を薦められ「内容が分からない」ので見てほしいという話でした。詳細は忘れましたが、ブラジルの通貨によって値段が変動し、ある条件までは元本が保証されているというものでした。
「退職金をつぎ込むにはあまりにも不適切すぎる」「投資経験がゼロなのに、そもそもブラジル経済や通貨について分かってないですよね」という話をさせていただきました。
いずれも、「投資してうまく行けばこういう結果になりますよ」の部分が強調された例です。「うまくいかなかったらこうなります」とか「どういう時がうまくいかないか」という説明が不十分なのも共通点です。
分からないものには手を出さない
世の中にはいろいろな金融商品があります。まず大原則として「自分が分からないものには絶対に手をださない」ということです。
何が分からないのかも分からないという方もいると思いますが、そのことこそ問題です。薦めてきた人に対しては、躊躇なく「分からないので判断ができない」と意志を明確にすべきです。
薦める人が知り合いだったり、薦められる人(あなた)に学歴があると、つい「知っている」と見栄をはりたくなるものですが、金融商品で損を被るとなかなか元には戻せません。自分のプライドはきっぱりと捨てるべきです。断るべきものは断固として断ることです。
薦める人に悪意はなく、善意を踏みにじってしまうかもしれないと思うかもしれませんが、そこは友人を減らしてでも防衛すべきラインです。
そして当然のことながら、「うまい話には乗らないこと」です。
結局は勉強
みなさんがレッスンで学んでいる身体や健康のことでは、「へえー知らなかった」という話題が多いと思うのですが、金融も同じです。
金融資産を運用するにあたっては、ある程度の知識を得る必要があります。興味のレベルや勉強に充てられる時間や熱意は、個人差が大きいので、まずは自分がどこまで勉強したいのかを明確にする必要があります。例えば
- 他人に騙されない程度の最低限の知識
- 全体像をつかむ程度の知識、自分が何に興味があるのかを知るための知識
- 積極的に運用するための知識
大変残念なことですが、他人には「金融機関」も含みます。最近、地方銀行が個人の顧客に”仕組み債”と呼ばれる商品を売って問題になっていますが、そういう例です。
勉強の内容について整理しよう
例えば、YouTubeなどで勉強することは悪くはないのですが、体系的になっていないので、自分が何を学んでいるのかを客観視する必要があります。
勉強する内容を幾つかに分類すると
- 経済の仕組みと金融市場:経済はなぜ動いて、金利や株価、為替などの価格はどう反応するのか?
- 投資の基本的な考え方:分散して投資するメリットとか、投資するタイミングを分散する(時間分散と言います)ことのメリットなど、投資において知っておくべきことが幾つもあります。リスクについての考え方もここで学びます。
- 投資商品の種類や仕組み:株式、債券、投資信託などの商品の仕組みについて。どんな商品にどんな手数料がかかるのかも知る必要があります。手数料は競争が働いているか、妥当な額なのかについて考える力を養います。銀行預金との違いもここで整理しておきましょう。不動産やREITもここに入ります。個人的には距離を置いていますが、仮想通貨もここに含めます。
- 投資商品の販売者についての知識:誰が販売して誰が値段を付けるのか。そもそもその値段で買い取ってもらえるのか。販売者は公的な認可を得ているのか。市場で取引できるものとそうでないものの違い。市場で取引できないものは、かなり慎重にならないといけませんよね。
こうした分類に沿って、YouTubeや記事、セミナーなどが何について話しているのかを知り、一方で自分にとってどの領域の知識が疎いかを、知ることが大事です。
ちなみに投資に失敗する、他人に騙されるようなケースでは、上の3番目の投資商品の話だけが先行し、それ以外のことが見えなくなっているのでしょうね。
何から学んだらよいか?
時間をかけて学ぶのなら、2番目の「投資の基本的な考え方」からがお薦めです。
なお、勉強する時間、投資にかける時間について決めておくこともとても大事です。自分が投資にかけられる時間や情熱はどのくらいなのかも考えてみましょう。
決して全てを詳しく知る必要はなく、勘どころを押さえておいて、出来る範囲で少しずつ投資に慣れていくことも大事だと思います。
なお、そもそもなぜ投資をすべきなのか、についても考えを持っておくと良いと思います。そうすると、焦って他人の話に乗ることも減るでしょう。
終わりに
この記事は構想してから2ヶ月くらいが経ち、編集を繰り返してきましたが、お伝えしたい内容が多すぎて、結果かなり的を絞ったお話になりました。
金融資産も健康資産も、大事に扱っていけると良いですね!