なぜ「自宅でできるエクササイズシリーズ」をPDFで配布するの?
「自宅でできるエクササイズガイド」シリーズは、当スタジオの会員様を対象に、内容を印刷可能なPDFファイルにまとめてオンライン限定で配布しています。
2020年4月にはじめたこのサービスは、こちらのページで「停止」の記述がない限り、引き続きご利用いただけます。ご希望の方へは配布方法をお知らせいたしますので、スタジオへメールまたはアプリでお問い合わせください。(お問い合わせの時点で、スタジオを定期的に利用している方に限らせていただきます。)
この記事は、コロナ禍に伴い営業自粛を実施した際に投稿したものですが、今後起こり得る自然災害のときにも参考になると思います。
自宅でも運動できることの重要性
コロナ禍による外出自粛・在宅勤務が長期化しつつある今、運動不足による二次健康被害のリスクが指摘されており、自宅で運動し続けることの重要性がさらに注目されています。
そこで手軽に利用できるのは、もちろん「動画」です。
youtubeには毎日続々とエクササイズや30分レッスンなどの動画が公開されていますし、オンラインで会員登録することで利用できるエクササイズ動画やライブレッスンもたくさんあり、スポーツジム施設が休業や営業縮小を余儀なくされる中、これから新しく始まるサービスはどんどん増えていくと思います。
でも、まず最優先にしたかったのは動画ではなく、手元の端末に保存したり自宅で印刷したりすることが容易な「PDFファイル」の提供でした。
なぜ動画ではなくPDFなのか
動画やライブレッスンはとても手軽で便利な素晴らしいものなのですが、ひとりで・自宅で行うこと、長期的に使っていくことを考えた場合に、様々なハードルやリスクがあると思っています。
すぐに思いつくものでは
- 家族全員が在宅なのに、大きな音を出してひとりで運動できる環境が用意できるのか?
- ネット環境は充実しているか? 電源は大丈夫か?
- 会費は払い続けられるか?
- 動画で見ている「それ」は、自分の身体に合っているのか? 果たして自分は正しく行えているか?
順に見ていきましょう。
1) 家族全員が在宅なのに、大きな音を出してひとりで運動できる環境が用意できるのか?
動画を見るだけなら良いのですが、それに合わせてしっかり運動するとなると環境的に難しいこともあります。
1人暮らしの方や自分の個室を持っている方は自由がありますが、子供が寝静まったあとでないとひとりの時間が持てないお母さんもいらっしゃると思います。
また、家族全員が在宅している現在は、集合住宅では在宅人口が多いことによる足音などの騒音問題が既にあちこちで起こっているとも聞きます。
そして、今はまだ何とかなるとしても、これがもし災害時や避難所、入院時だったら?と考えてみると、動画で音を出せないと運動できないとしたら、運動を習慣的に続ける手段がなくなってしまいます。
2) ネット環境は充実しているか? 電源は大丈夫か?
これも、災害や入院などの状況を経験した方には切実な問題であることがわかるかと思いますが、常にネットがつながるか、スマホやPCの充電・電源が十分かどうかというのは意外と見落とされがちな問題です。
ネット環境がない、スマホの充電が切れた・充電器がない、停電してしまったら使えないものって、いざというときに役に立たなくなってしまいます。
3) 会費は払い続けられるか?
これは会員登録による有料サービスの話ですが、有料サービスは経費が結構かかるもので、経済的に苦しくなるとそこから削らざるを得ない状況になるかもしれません。(もちろんオンラインサービスだけでなく、スタジオの月会費なども同じ話なのですが…)
今後、コロナ禍による不況で仕事や売り上げが減る、最悪は事業をたたむ・失業してしまう人も増えるかもしれない中で、オンラインサービスやスポーツクラブなどの施設を退会することが、「運動する道が断たれる = 運動することをやめる」になってしまったらあまりにも残念です。
4) 動画で見ている「それ」は、自分の身体に合っているのか? 果たして自分は正しく行えているか?
これは、簡単に言えば「お医者さんで処方してもらう薬と、ドラッグストアで購入する薬の違い」という意味です。
薬をのむときは、自分の抱えている症状と自分の体質に合っていなくてはならず、症状に合っていない薬はのんでいても改善しないし、体質に合っていない薬だと副作用が出るなど他の重篤な問題が起きてしまったりもします。
薬を自己判断で服用してしまうことの危険性は多くの人がわかっていると思いますが、では、動画で見ている「その運動」は自分の症状や現在の状態に本当に合っていますか?やり方は正しくできていますか?
運動することは本当に素晴らしくて重要なことなのですが、一方で、行っているものが自分の身体にとって適切なエクササイズなのか、正しくできているのかを誰にも見てもらえない・判断してもらえないとすると、反復して行い続けている間にどこかを傷めてしまう・元から抱えていた症状が悪化する、などの問題が起こるかもしれません。
そうなると運動を休まなくてはいけないし、痛いから運動不足は加速するし、痛みをかばうので姿勢が悪化し不自然な動かし方になり、そのうち整形外科や治療院に行かざるを得なくなり… と、本末転倒な展開になっていきます。
長期的な視点では、動画を見ながら見よう見まねで・不正確に・自己流でやり続けたときの運動障害リスクは、これからが非常に心配になってくるところで、多くのトレーナーがその危険を感じているはずです。
災害時こそ運動が重要
コロナ禍だけでなく、災害の多い日本では、今後あらゆる事態が想定されます。
生きていくための資本となるのは心身の健康ですが、そのために欠かせないのは運動です。
だとしたら、運動についても今後起こりうるいろいろな事態を想定し前もって準備をしておくこと、リスク管理的な考え方が必要だ、と私たちは思っています。
最終的な目標は、「自分の健康のために運動をやり続けることを、生涯にわたってあきらめない」ため。
そこで、先に挙げたような問題への答えとして
- 他の人・家族と同じ部屋にいたとしても、誰にも迷惑をかけずひとりで行える
- ネット環境や電源がなくても、スマホやPCなどの端末がなくても行うことができる
- たとえ経済的に苦しいときでも、自分自身で続けられる
こういった利点があることを考えて、私たちはエクササイズガイドを「端末への保存と紙への印刷が可能なPDF形式」で配布する作業を進めています。
紙に印刷するのは時代に逆行しているようですが、年齢を問わず誰でも楽に見ることができ、一覧で把握できる・必要なものを探しやすいという点で、紙はとても便利です。
もちろんスマホやPCが使えるときならば、端末で見ることができるのもPDFの利点です。
自分に合っている内容を、自分ひとりでも正しく行うことができる
そして、これこそがそもそも私たちが「スタジオセッション」という個別学習式のレッスンを提供している理由に他なりません。
私たちの指導方針は、スタジオセッションだけでなくプライベートレッスンにおいても変わらず、「いつしか覚えていて、自分の問題を理解し、ひとりでも再現できるスキル」が身につくよう、常日頃から指導にあたっています。
そのため、私たちのスタジオに通ってくださっているお客様ならば、「自分のやるべきことが大体わかっていて、言われずとも正しく気を付ける・意識するスキルをだいぶ習得できていて、ひとりで習慣的に行うことができる」と考え、お問合せ時に継続して通っている会員様を対象にPDFを配布することにしました。
(※「当スタジオにお問合せ時に継続して通っている会員様を対象」とするのは、私たちが「その方の現状をほぼリアルタイムで把握できていること」が必要だからです。)
PDFを配布するだけでなく、その方に注意してほしい点や特に行ってほしい点などのアドバイスも喜んで提供いたします。
わたしたちの願い
私たちOlaピラティススタジオの究極の願いは、
「多くの方が、生涯を通じて、どんなライフステージでも、どんな環境でも、ずっとピラティスを行ってほしい」
ということです。
そのためには、今このときだけを考えず長期的な視点に立って、「自分で、自分のためにエクササイズを行うことができるスキル」をできるだけ早く身につけておくことが大事であると信じています。
Olaピラティススタジオは、そのスキルを学ぶための「ピラティススクール」であるという立場でレッスンを提供しており、当スタジオでピラティスを学ばれた方が、今後の人生でいかなる事態が起こっても、身につけたスキルを活用して運動を継続してほしいと願っています。
Yasu / Nahoko
Ola Pilates Studio