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スキーにおける膝の向き(股関節内旋との関係)

2021.01.19 スポーツ

インストラクターYasuです。

スキーを習うとき、上達を目指して練習するとき、一般に「滑り方」を教わったり工夫することに専念すると思うのですが、その前に「身体の使い方」は適切ですか?というお話をします。

膝の向きについて観察する

スキーにいま一つ乗れない方、左右のターンに違いがある方は、荷重するときに自分の膝がどういう方向に行くかを観察してみましょう。

次の写真を右脚(右膝)に注目して、見比べてみてください。

 この写真のシチュエーションですが、斜面に対してやや下向きに立っています。谷側のスキーに少しだけ荷重(自分の体重をかけていく)しています。

腰の向きとか、いろいろ気になっちゃうかもしれませんが、右膝の向きに注目します。

上の写真はスキーの方向に膝が曲がっています。下の写真は、スキーの方向よりも内側に入っています。

「外向傾」に頼っていませんか?

下の写真はエッジが立ちすぎ、腰が必要以上にフォールラインの方を向いてしまう、いわゆる「外向傾」が強すぎるポジションです。

スキーを始めた頃の僕は、この外向傾で滑っていました。谷側の板にしっかり乗ることを優先した結果、そのような選択を無意識にしていたようです。しかし、この使い方だと、スキー検定に受からないことも経験しました。

受からない理由は、ターン後半の動作が強すぎること。ターン前半にスムーズにつながらず、ターンの連続性がなかったようです。

ニーイン現象

わたしたちのスタジオでは、膝がつま先の方向(スキーの場合はスキー先端の方向)より内へ入ることをニーインと呼んでいて、どこかのタイミングで修正するようにトレーニングをアドバイスしています。陸上でも、この膝の向きというクセは顕著に現れます。

試しに膝がニーインしているポジションで、「横滑り」をしてみてください。そうすると、エッジが立ちすぎてしまうためスキーのずれが小さくて暴走するか、うまく谷側のスキーに乗れなくて前に進めないかのどちらかが起きます。

横滑りがコントロールできていないと、残念ながらターンの質もそれなりのものになってしまうと僕は考えています。なので、左右いずれかの横滑りがうまくいかないときは、膝の向き(アライメント)が正しくなっているかどうか、観察することをお勧めします。

ニーインの原因と対策

問題は、なぜ膝が内に入ってしまうのか?

いくつかパターンがあるのですが、代表的なのが「股関節の内旋」です。

実際、2枚目の写真を撮ったとき、被写体の僕は膝を内に倒したのではなくて、股関節を若干内旋にしただけでした。股関節の角度だけで、膝の位置が大きく変わるということです。

股関節内旋を防ぐために働くのがお尻の筋肉。股関節を外旋するときに使う筋肉です。この筋肉が股関節の内旋を妨げるように作用することが必要です。オフトレはもちろん、シーズン中のトレーニングでも重要です。

股関節の内旋がクセになっている方は、性別、年齢、スポーツ歴を問わず、スタジオのお客さまに非常に多いです。加齢とともに殿筋が弱りやすいということとも関係しているのではないかと思います。

「股関節の内旋」以外には、足のアーチが落ちるという問題がありますね。足のアーチについては、コラムでたくさん触れていますので、今回は割愛しますが、あわせて参考にしてみてください。

雪上に立つ前に行うべきことがあった

「外向傾」が強かった僕は、その癖を直そうと思い、陸上で片脚スクワットを行うなど、いろいろ試しました。しかし、わたしたちのピラティススタジオで身体の研究を深める前だったので、その原因から遠いところをさまよっていました。

この癖の原因をつきとめて直すことは、雪上でたくさん滑っても不可能に近いのでは、と思います。

スキーの先生でも、股関節の内旋までは疑ってかからないのではないかと思います。唯一の可能性は、スキーの練習ドリルの中に、股関節内旋を矯正するものがありそうだということ。例えば、緩斜面の直滑降で、股関節の外旋と内旋を繰り返すドリルがあるのですが、そういった練習を積極的に行って、自ら気づくことが有効かもしれません。

しかし、練習ドリルは練習ドリルとして紹介される場面もあるので注意すべきです。練習の段階的発展として予め用意され、受講者がそれをこなすだけの場合は、「できた」「できない」で終わってしまう可能性が高いです。言い換えると、自分の身体の課題として認識できないような練習は、やってもなかなか効果が上がりません。

逆にスキーの先生が、あなたの滑りにはこういう問題があるから、このドリルがマスターできるまで練習した方がよいと言われるなら、そのドリルはどんなに退屈なものでも、自分のものにする価値が大いにあります。

いずれにせよ、練習は目的があって行うべきものなので、問題と目的をはっきりとさせて、自分には雪上が良いのか陸上が良いのかを判断して、地道に取り組む必要があるということですね。

 

※記事のタイトルを変更しました。オリジナルは「スキーと膝(股関節の内旋を疑ってみよう)」でした。

 

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