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コラムcolumn

ピラティスを自分で行うために
vol.9 / 2016.08.04 Nahoko

呼吸は『ルール』ではなく、『ツール』です

スタジオに置いてあるアメリカのピラティス専門誌「Pilates Style Magazine」の最新号に目を通していたら、こんな言葉と出会いました。

  
「Breath is a TOOL, not a RULE」

  
これは、Polestar Pilatesというピラティス団体(※)の創始者、Brent Andersonさんの言葉です。

※ピラティスは世界中にたくさんの団体(流派・メソッドとも言います)があります。私たちOlaのスタッフはBASIという団体の資格を保有しています。

  
「呼吸は ルール ではなく、ツール である。」

ピラティス指導者のひとりとして、本当に同感です!

呼吸の考え方はいつもレッスンの中でお伝えしていることではあるのですが、改めて書いてみたいと思います。

  
ピラティスは、よく「難しい・細かい・面倒くさい」といったイメージで捉えられてしまうことがあります。

その難しいイメージを作り出している原因のひとつは、ピラティス特有の「呼吸」のしかたや、呼吸についての説明にあると思っています。

「ピラティスの胸式呼吸という呼吸法が難しい」というお声を聞くことは珍しくないですし、「どこで吸ってどこで吐くのかが覚えられない」「呼吸が逆になって混乱した」という感想もよくあります。

  
でもね、声を大にして言いたいのは、「呼吸」ってそんなに難しい「規則(ルール)」ではないんです!ということ。

必ず正確な呼吸法をマスターしなくてはいけないとか、呼吸を間違ったらダメだといったような厳格なルールではありません。

それよりも、「呼吸」は「とっても便利なツール」だと思ってほしい。

呼吸をツールのひとつとして活用すると、ピラティスの動作はとても動きやすくなることが次第にわかってきます。

鼻から吸って口から吐くというやり方は、鼻から吸った方がたくさん吸えて、口から吐いた方がたくさん吐けるというメリットがあります。

口から深く吐くと、腹横筋というインナーマッスルが動員されやすくなります。

また、胸式呼吸(側方呼吸)という方法は、お腹を膨らませずに肋骨部分で呼吸するのですが、その方が動作の中で骨盤底筋群や体幹の筋肉群をしっかり使い続けることができます。

少し力が必要だったり、不安定な中で体幹をしっかり使いたかったりする状況になったら、まずは口から深く吐いてみると、呼吸の力が腹横筋などのインナーマッスルに作用して自分の動きをサポートしてくれているのが感じられるはずです。

この考え方は、どこで吸ってどこで吐くのかの判断基準にもなります。

基本は「力が要るときに吐く」が定番ですが、吸った方が動きやすい動きもあれば、吐いた方が動きやすい動きもあります。

インストラクターは場面に応じて最適な方を指示しているのですが、それでも迷ったときは、とにかく吸うか吐くかどちらかやってみましょう、と私はいつもおすすめしています。

指示を厳格に守らなくてはいけないという風に考えるのではなく、ご自分にとってその動きは「吸う・吐く」のどちらがやりやすいのか?と感じてみることはとても大事です。

そうすると、呼吸の持つ役割や意味合いがわかるようになってきます。

呼吸のパターンが逆になってしまっても同じように動けるのか、感覚として何が違うのか、やりやすさはどうか、体幹が使えているかを感じてみると、何故この呼吸法や呼吸パターンが指示されるのかがわかります。

  
呼吸の大切な役割は他にもたくさんあって、深い呼吸によって集中力が引き出されたり、自律神経系に作用してくれたり、血流や代謝を促進してくれたりもします。

そして最も大切なのは、当たり前のことですが、「呼吸し続けること」!

生き物が活動するためには酸素が必要ですから、運動をするなら呼吸を止めてはいけません。

呼吸の正確性にこだわるあまり、息を止めてしまったり、不自然な・やりにくい呼吸になってしまったりしないようにすることが大事です。

ただシンプルに、気持ち良く吸って、気持ち良く吐く。

それだけでも「呼吸」の意味がありますね。

  
ピラティスにとって呼吸は「厳格な規則・守らなくてはいけないルール」なのではなく、呼吸の良さや役割を最大限に活用したいからこその呼吸法であり、呼吸パターンなのです。

呼吸を難しいものだと思わないで、ぜひ最も便利な「ツール」として使ってみてくださいね!

(Nahoko)
  

呼吸

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