怪我から学び、気づくこと
こんにちは、インストラクターのNahokoです。
この夏以来、私は怪我の回復とリハビリに取り組んでいます。
きっかけとなったのは、右側の骨盤内にある仙腸関節、そして右側の股関節屈筋と呼ばれる筋肉群を傷めたこと。
骨盤や股関節付近が痛いので、当初は歩くのもままならず、立つ・座るなどの動作のひとつひとつがつらい状態でした。
骨盤を動かすことができないので、ピラティス動作は全くできず、日常の姿勢を維持することすら難しかったです。
痛みをかばう生活をしていると、当然歩き方のバランスが崩れたようで、元々弱かった左ひざが強く痛み始めました。
左ひざをかばっていると、今度は右ひざの痛みを感じるようになりました。
最後のダメ押しは、左の足の裏。
ある日、突然の激痛で足裏を床につくことができなくなり、痛い場所や痛みの出方からして、「足底筋膜炎」だろうな~、と思ってお先真っ暗な気分になりました。
足底筋膜炎は、私の母が20年以上悩まされているもので、発症してしまったとすると、すぐに治るとはとても思えなかったからです。
こんな状況でつくづく実感させられたのは、人間の身体は本当に「バランス」と「調和」の上に成り立っているということ。
バランスが崩れ、調和が乱れるとどうなるのか?
人の身体にかかわる仕事をしていると、時々つい視点が狭くなって一部分の状態しか見えなくなる瞬間がありますが、全体のバランスや調和がどれだけ大事なのか、身に染みてよくわかりました。
治療に通いながら、自分なりに痛みの改善に効果的なことを調べては試し、リハビリに取り組んでいるのに、しつこい痛みの連鎖が止まらない。
良くなったかと思う日があると、翌日には違うところの痛みが出る。
改善と悪化を繰り返していて、気分的にも落ち込む毎日でした。
しかし、ここ2週間ぐらいで、続けてきたことがようやく少し実を結び、またリハビリ手段が新たに見つかったおかげもあって、急速に状態が良くなってきたようです。
「慢性的な痛みがない」って、本当に素晴らしい!
声を大にして叫びたいくらいです。
ピラティスインストラクターという仕事を通して、いろいろな痛みを抱えたお客様と日々お会いしています。
歩くと膝が痛い。
足の捻挫などで、歩き方のバランスがおかしくなった。
足底筋膜炎で足をつくのが痛い。
他にも、腰痛、坐骨神経痛、股関節痛。
肩こりの痛みを深刻に感じている方も多いです。
自分が怪我をして慢性痛を抱えたことで、クライアントさんの「痛い」という声が、今まで以上に私の耳に入ってきました。
「本当に痛いですよね!わかります!」と言いながら、共感しあえたことが嬉しかったり、自分の痛みのように感じられて涙が出そうになったり。
どれだけ痛くて、どれだけつらいことなのか。
日常にどれぐらい支障があるのか。
毎日どこかが痛い日々が続くと、精神的なエネルギーも消耗します。
自分の痛みと戦いながら、クライアントさんの身体や気持ちの状態について、今までよりももっともっと、たくさん考えるようになりました。
痛くても日常生活は続けなくてはいけないのなら、どうしたら少しでも痛みを感じずに動作を行うことができるのか。
バランスの悪化を防ぐために、日常で何を気を付けたらいいのか、機能回復につながる動きができないか。
私自身の試行錯誤を通して発見したことをクライアントさんに共有して、少しでも楽になってもらえないだろうか?
今後の悪化や再発を防ぐことはできないだろうか?
痛いからと言ってじっとしていると必ずしも改善につながらないケースもあります。
周囲の筋肉まで弱ってしまわないように、そして血流を促進して回復を高められるように、どこかに痛みがあっても続けられる運動はないだろうか?
運動手段は、ピラティスだけに限りません。
私自身は動かずじっとしているのは嫌なので、下肢に負担をかけない水中ウォーキング、正しい歩き方を意識しながらのトレッキング、足に重さが乗らないロードバイク、そして体幹トレーニングなどなど、いろいろな手段を試してみています。
さすがに今の自分には無理だった… と後悔した瞬間もあれば、それがきっかけで一気に痛みが改善して驚いたこともあれば、様々です。
ただ、こうやって身体を動かしていると、多少痛みがあっても精神的には前向きでいられる。
それだけは断言できます。
怪我と戦っている、と思うだけでも、自分の気持ちを強くしてくれているのかもしれません。
怪我をした当初は「最悪だ」と思い、ひどく落ち込みました。
でも、怪我の痛みを通して気づかされたことがあり、回復の過程の中で学んだことがありました。
この怪我は、自分にとって成長の機会を与えてもらったようなもの。
怪我をさせてもらえてラッキーだった、と言えるようになりました。
たまたま怪我の経験を活かせるような仕事をしていたのも、ラッキーだったのかもしれません。
私の経験が、誰かのためになるように。
機会があったら、またどんどんスタジオでシェアさせていただこう、と思っています。