自宅でできるエクササイズ その1「胸郭をゆるめて呼吸を楽にしよう!」
ついに今週末から、東京都も外出を自粛することになりました。
今後もさらに自粛が続く可能性もあり、自宅で過ごす時間はどんどん長くなっています。
不安や恐怖を抱える毎日に、緊張感と閉塞感が増すばかり。
「不要不急」の外出を控えることにより、身体を動かす量が減り…
自粛生活を送る中、自分自身の「こころと身体の健康」を損ねてしまったら、体力・免疫力が低下してウイルスと戦えなくなってしまいます。
こんなときこそ、「こころと身体」両面の健康に働きかける優れた効果を持つピラティスを、ぜひ活用してほしい!
それが、私たちの強い願いです。
ピラティスは、ほんの少し行うだけでも、緊張感がゆるんでエネルギーが湧いてくるのを感じられると思います。
呼吸が楽になり、血流が促進されて、ぐっすり眠ることができます。
そして、「不安や緊張で見失いそうになっていた自分自身」を取り戻し、明日からも元気に生きていくための活力を得られるはずです。
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私たちのスタジオで行っている「スタジオセッション」というレッスン形式は、「自分で覚えてエクササイズを行う」という個別学習式です。
本来ピラティスは、スタジオに来なければできないものではなく、毎日の自分の健康管理ツールとして行うためのもの。
体調不良や病気、多忙なときや今回のような災害のとき、経済的な理由など、スタジオに通うことができない時期は、生きていれば誰もが一度は経験します。
でも、どんなときでもピラティスをご自分の人生に活かしてほしい。
自分の力で、自分のこころと身体の健康づくりができる「スキル」を、多くの人に身につけてほしい。
そんなスキルづくりに取り組める場所を提供したいという思いから、私たちはスタジオセッションという形式を始めました。
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このスタジオセッションを現在(または過去に)受講されている方なら、きっともうどこにいても「ピラティスを自分で行う」ことができるはずだ、と信じています。
でも、今このとき、どんなことをやったらいいのか?
いつもスタジオでやっているあのエクササイズは、自宅ではどんな風に行うことができるのか?
そのアイディアをみなさんにご紹介させていただきたいと思います。
(※あくまでも「当スタジオのスタジオセッション受講経験者向け」の内容なので、ピラティスをやったことがなくても誰でもわかるというわけではありませんが、ご容赦ください。)
画像やエクササイズ名を見て「あー、あれか」と思い出していただき、日頃のご自分が何に注意していたを思い出しながら行ってみてください。
今このときだからこそ意識していただきたいポイントなどのアドバイスを、できるだけ付け加えておきます。
意識や注意を向けること=「Awareness」と、自分自身で意思を持って行おうとすること=「Control」が、みなさんのピラティスをさらに効果的なものにしてくれるはず。
緊張や不安が消えないときほど、自分の身体に意識を向けようとすることで脳のスイッチが切り替わります。
非常事態や非日常の中でも、「日常の自分・本来の自分」を取り戻す時間にしていただけたらとても嬉しく思います。
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■ その1「胸郭をゆるめて、呼吸を楽にしよう!」
【1.ペルビックカール】★ステップ1~3まで (目安の回数はそれぞれ)
★ステップ1:呼吸と自己観察
目安の回数 5~10セット
まず身体をセットしたら、目を閉じ、深く呼吸をしてみましょう。
鼻から吸ってみたとき、どれぐらい吸えるか?肺はどれぐらい広がるか?
口から吐いたとき、身体の奥底から吐き切ることができるか?
時間をかけながら、吸ったり吐いたりを繰り返してください。
緊張や不安は、呼吸を浅くします。
今の自分がどれだけ呼吸をすることができるのか?
身体の状態を静かに感じ取って、今の自分について知ってみてください。
★ステップ2:骨盤の小さな動き
目安の回数 5回
セッションで「お尻の下・モモの付け根の裏側エリアを外から中心に集める」と習った方は、その通りやってみてください。
「骨盤底筋」のイメージを持てるようであれば、それもGOODです。
「尾てい骨の先端を天井に向けるように巻き上げ、床に降ろす」という小さな動作を、数回繰り返します。
小さな動作に意識を集中させられるかどうか?それとも、集中できないほど気持ちが動揺しているのか?
これも、自己観察の時間でもあります。
★ステップ3:ブリッジ動作
目安の回数 10回
尾てい骨の先端を天井に向けたところから、背骨を少しずつ床から浮かせるようにブリッジしていきます。
吸ったり吐いたり、いつもよりもたくさん呼吸をしてみましょう。
どこで吸うか?どこで吐くか?そんなことを気にする必要はありません。
自分の身体が吸いたい・吐きたいように自然に呼吸をし、背骨という小さなパーツを動かすことに集中しましょう。
痛いところはないか、身体は固まっていないか、久々で足やモモ裏がつりそうになる、などなど。
自分の身体が教えてくれる、今の状態を自己観察してみてください。
【2.スパインツイスト】
目安の回数 左右で1セットとして、5セット
ポジションは、真横に手を大きく広げてもよいし、
「ゴールポストアーム」に慣れている人ならそれでOK。
ゴールポストアームでまず胸をストレッチする習慣にしている人は、数回行ってみてください。
ツイストしながら、胸・肋骨まわりが動いていることに意識を向け、肺いっぱいに深く呼吸をし続けましょう。
不安や緊張によるお腹の不調を感じる方は、「胃腸をしぼるようにひねっている」イメージもおすすめ。
無理しすぎない・頑張りすぎない範囲で動くようにし、少しずつ胃腸の動きを促進してあげてください。
※私(Nahoko)は元々ストレスによる機能性胃腸障害になりやすい体質のため、このスパインツイストは毎日の生活に欠かせません。
【3.ブックオープナー】
目安の回数 片側ずつ各5回
正確に行うのが難しいエクササイズなので、よくアドバイスされることを思い出してみてください。たとえば、
・肩を少し外旋する意識で、首をすくめないように。
・胸を天井に向けるように動くことに意識を向け、腰からのひねりにしないこと。
・ひねりのとき、下半身を連れていかない(骨盤が一緒にひねられたり、膝が大きくずれたりしない)こと。
・そして、胃の辺りを前方に突き出すような(腰を反るような)ひねり方をしないこと。
1回ごとに深く呼吸をしましょう。
(これもどこで吸って・吐いても構いません。自分の身体が求めている呼吸をしてみてください)
回数を重ねるうちに肋骨がゆるんで、呼吸が入りやすくなっていく自分が感じられたら最高です。
【4.サイドストレッチ+ローテーション】
★ステップ1:サイドストレッチ
目安の回数 5回
あぐら座でもいいし、椅子などに腰かけている状態でもできます。
片側の肋骨の間をできるだけ広げるようにイメージし、自分が広げたい場所に目掛けて息を深く吸うことを意識します。
腕は、天井に届くかのように思いっきり伸ばしましょう。
二の腕の裏側の筋肉がプルプルするくらい頑張ってみてください。
(しばらく電車のつり革にもつかまっていない今日この頃、頭の高さより上に腕を伸ばす機会なんてめっきり減ってますよね!?
大きく動かさない日々が続くと肩関節が固まって四十肩予備軍になりますし、何より二の腕がどんどんたるむかもしれません!)
外側のお尻が浮いてしまう方が多いです。
お尻を浮かせないことで、脇腹はもちろん、肋骨の裏側・腰エリアの筋肉までよく伸ばしてください。
最近座ってばかりで腰が丸まってきている… という方は、胴体部分が長く伸びるようなイメージをしっかり持ってみましょう。
縮こまっていた胃腸のはたらきも促進されます。
★ステップ2: ローテーション
目安の回数 5回
サイドストレッチから引き続き腕を伸ばしたままひねってもいいし、ひじを曲げて後頭部に手を置いて行ってもOK。
(画像では腕を伸ばしたまま行っています)
自分の胸板が床の方を向くように深くひねり、背中側の筋肉をしっかり伸ばします。
腕を伸ばして行う場合は、腕をできるだけ遠くに伸ばそうとすることで腕の筋肉にも刺激を与えます。
後頭部に手を置いておこなう場合は、「ひじと顔だけ」でひねろうとしないようにし、肩の裏側・背中を伸ばすことを意識します。
伸ばしたまま数回吸ったり吐いたりを繰り返すのもおすすめ。
ここでも伸ばしたい場所(特に背中側の肋骨の間)が広がるように、大きく息を吸うことを意識してみてください。
【5.シッティングバック】
目安の回数 5回程度
★ステップ1: 肩の外旋
在宅PCワークで、肩が丸まった・猫背になったと感じる方には、このシリーズが特におすすめ!
ポジションをセットする際、日頃からひじの過伸展をよく注意される方は、ご自分でできるだけ気をつけるようにしましょう。
肩の丸い部分(上腕の骨頭)から回転するようにして外旋し、胸にストレッチを感じましょう。
ひじ・手首だけ回さないように、回すのはあくまでも「肩」です。
胸を伸ばすのと同時に、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)も伸びるのを感じてみてください。
★ステップ2: (もしできるようなら)バックエクステンション
肩を外旋したところから、胸で天井を見るように少し反ってみます。
ただし、あごを上げすぎないように注意です。
「胸」のイメージは、女性の場合は「ネックレスのヘッドが当たるエリア」、男性は「ネクタイの結び目のエリア」です。
自宅にこもっている間に、頭が前に出て肩コリ・首コリが悪化しているという方は、重点的に行ってみてください。
■ フォームローラーをお持ちの方は、今こそ大活躍させるときです!
ここまでご紹介したエクササイズを、フォームローラーで行うとさらに手軽で効果が高いです。
画像のみご紹介します。
【背骨全体・胸郭をゆるめる】
ただ寝ているだけでもいいですし、腕を肩から大きく動かしてみるのもおすすめ。
【ペルビックカール】
ローラーに背骨が当たる感覚が明確に感じられます。
このとき、後頭部をしっかりローラーに沈める意識を持つと、首のインナーマッスルが刺激され、猫背で前に出てしまった頭の位置を後ろに戻すことができます。
【スパインツイスト】
ローラーは仙骨の下に置いてください。
ひねり効果だけでなく、座りまくりで固まったお尻周りの筋肉もほぐれます。
【サイドストレッチローテーション】
転がるものがあると、いつものマシンでバーを使用している感覚が思い出されるはずです。
転がすことで伸びを深めるイメージ。
【シッティングバック】
肩の外旋と
バックエクステンションをどちらも行ってみましょう。
(※この画像ではバックエクステンションはフォームローラーなしバージョンで行っています)
【バックエクステンション(プローン1)】
手のひらの向きはお好みで。
マシンで「プローン1」をいつも行っている方は、ローラーがあると同じ感覚を簡単に再現できます。
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「自宅でできるエクササイズ」シリーズ、今後もUPしていく予定です。
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